・・・・・・ 白菜(ハクサイ)などの菜類の塩漬け

塩漬けには2種類あります。味がついて直ぐ食べる「浅漬け」と「保存用塩漬け」です。
浅漬けを良く理解していれば、どんな漬物も上手にできるようになります。味は塩加減ひとつで決りますが、浅漬けにかぎって、野菜がなんであっても、季節がいつであっても、塩の分量は一定しています。
浅漬けのしかた
最初に下漬け(荒漬け)をし、次ぎに本漬けにします。長く保たせるものほど、下漬けを何回もします。これは味を付けるためではなく、塩で余分の水分を取り除くためです。
●材料と用具=
・・*1斗=18.039P/1升=1.8039P/1合=0.18P/*1貫=3.75L/1匁=3.75K

・・白菜 :1貫匁(かんもんめ/3.75L/貫に同じ)
・・塩  :60匁(3.75K×60)
・・おし石:1貫匁(3.75L)以上
・・容器 :9升(1.8039P×9)入り醤油樽等
・・・・・・・(その他の菜類も同様)

●下漬けのしかた=大きな株は二つか四つ割りにし、水洗いしておきます。漬け樽の底に少量の塩を振りまき、水洗いした株を水気のついたままで、根側を向こうに左から右へギッシリと並べます。次ぎに、根側を自分に向け、菜の葉先と葉先が中程で重なるように、左から右へギッシリと並べ、塩をバラバラと振りかけます。これを繰り返します。ここで使う塩の量は40匁(3.75K×40)で、残した20匁(3.75K×20)は本漬けで使います。
●本漬けのしかた=下漬けしておいた菜を、1株づつ根本から葉先へと固く水気をしぼり、別の器に入れておきます。漬け樽内の汁を捨て、樽を洗い直します。再び樽の底に塩を少量ふりまき、水気をしぼっておいた菜を下漬と同じ手順で並べます。残しておいた20匁の塩を一段ごとに振りかけます。おし蓋をし、おし石をのせます。
まもなく汁があがってきますが、食べはじめは夏場で3時間、10月ころで8時間、冬場で3日ほどです。浅漬けの賞味期間は、夏場で7日間以内、冬期が20日以内が浅漬けの味の命です。
○本漬けのさい、好みによって糠(ヌカ)を2合ほど塩に混ぜて使ったり、麹(コウジ)を2合ほど各段ごとに振りかけたり、昆布を一段ごとにはさんだり、酒粕をところどころにいれて漬けたりしますが、昆布や麹(コウジ)を使ったばあいは注意があります。汁がおし蓋の上にあがってきたら、いったん、おし石だけを取り除き、翌日もと通りおし石をのせます。こうしませんと、麹(コウジ)が、ふくれません。塩水の中でグズグズふくれると、麹などは甘味が出ず、いやな味になります。昆布も理由は同じで、せっかくの味と粘りが出ません。

保存用の塩漬け
●材料と用具=
・・*1斗=18.039P/1升=1.8039P/1合=0.18P/*1貫=3.75L/1匁=3.75K

・・菜類 :1貫匁(かんもんめ/3.75L/貫に同じ)
・・塩  :120匁(3.75K×120)
・・唐辛子:20本ほど
・・おし石:1貫匁(3.75L)以上
・・容器 :9升(1.8039P×9)入り醤油樽等

どの菜類でも、秋〜冬の間2ヶ月の保存でしたら美味しくいただけます。半年以上、1年ほど保存して美味しくなる菜は、長崎の白菜(底本では旧満州産の白菜が1番とされている)で、最も長く保存ができるのは高菜と広島菜です。 ●下漬けは浅漬と同じです。保存用の塩漬けは下漬を3度行い、4度目に本漬けします。1度目の塩が30匁、2度目が20匁、三度目が30匁、本漬けに40匁というふうに漬け直します。下漬けは、漬け替えるたびにしぼり、汁を捨てます。度ごとにしぼっては、水分が抜けきってしまいそうですが、4度くらいでは、まだまだおし蓋の上にダブダブと上がってきます。下漬の漬け替えは3度とも汁が上がって2〜3時間が適当です。
●本漬け=4度目の本漬けでは、菜を両手で固くしぼり上げます。この時、樽やおし石をよく乾かしてから、漬け込みに入ります。手順は、浅漬の場合と同じです。唐辛子は丸のまま、各段にまき散らします。
おし蓋をし、おし石を載せますが、その前に清潔な薦(こも)か蓆(ムシロ)が有ったら、丸く切って蓋の下に敷くと、いっそうの保存効果が望めます。



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