・・・・・・ 味醂(みりん)漬け

 味醂漬けは、漬物の中で風味の高尚な点では王座をしめていますが、漬け方のコツを理解していないと、失敗に終わります。
 適した材料は、白瓜(胡瓜でもよい)・茄子・大根などで若く小ぶりで質の固いものがよい。
 手順は、(1)塩漬けから(2)味醂下漬けをへて、それから(3)味醂本漬けという手順です。


*1斗=18.039P/1升=1.8039P/1合=0.18P/1勺=0.018P/1貫=3.75L/1匁=3.75K

【材料と容器】
・・・野菜:300匁
・・・塩 :10匁
・・・味醂:1合8勺
・・・砂糖:茶さじ1杯
・・・酢 :盃1杯
・・・焼き明礬(みょうばん):1匁
・・・おし石:(1)400匁以上(2)100匁以下(3)50匁以下

1、【塩漬け】
 野菜を水洗いし、すぐに小桶(オケ)なり瓶(カメ)なりに並べ塩をふり、おし石を載せておきます。塩漬けするときは、丸のままでも、二つ割りでもよく、野菜はこのみの物1〜2種でもよろしいです。
 通常の塩漬けは4〜5日で漬かりますが、味醂漬けの場合、普通より強めのおし石を載せて10日以上おかないと、歯切れが良く有りません。充分に締(し)めておかないと、味醂の作用で柔らかになってしまいます。
 10日以上になったら、つけ汁の中でよく洗い、日陰に3〜4時間、または一晩乾しておきます。
2、【味醂下漬け】
 鍋の中に、味醂1合、砂糖五匁とを入れ、煮立ったら焼ミョウバン1匁を加えたら、すぐに火から下ろし、自然に冷めるのを待ちます。瓶に野菜を具合よく並べ、用意の味醂を上からかけまわし、100匁以下のオシ石を載せておきます。
 十日ほど置くと、からかった塩気が抜け、、色がよくなり馴れてきます。このときの汁は、全部捨てるほかありません。この汁で野菜をよく洗い上げます。器をきれいにして、本漬けです。
2、【本漬け】
   野菜は、そのまま、または適宜に切るなりして瓶に並べ、鍋に味醂8勺を入れ5分ほど軽く沸騰させ、火から下ろして冷まし、酢を盃(さかずき)1杯を混ぜ合わせて、野菜の上からかけ、被せ蓋をします。いちどに食べ尽くせない量でしたら、保存の意味でオシ蓋をし、50匁以下のオシ石を載せ、その上から目貼(めばり)するか、なにかで空気が入らぬよう、アルコール分が発散しないよう、注意が必要です。
 食するときは水洗いせず、そのまま頂きます。本漬け後3日ほどから味がよくなり、古くなるほど美味しくなります。




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