・・・・・・ 梅干

梅干しは、健康な人にも、病人にも、なくてはならぬ重宝なものです。漬け方は色々あって、普通の梅干漬け・梅漬け・シソ巻き漬け・小田原漬け・紀州漬け・砂糖漬け・梅焼酎漬け・青梅漬け・梅びしほ・そのた加工してお菓子もあります。

・・*1斗=18.039P/1升=1.8039P/1合=0.18P/1勺=0.018P/1貫=3.75L/1匁=3.75K

【材料と容器】
・・・・・・梅1升に塩2合5勺〜3合
・・・・・・紫蘇の葉40匁以上
・・・・・・おし石50匁/桶(オケ)または瓶(カメ)

 美味しくつくるには、第1によい梅を選ばなくてはいけません。あまり青いのは漬けてからも固く、熟しすぎたのは實が破れたり、核(タネ)ばなれが悪かったりします。もし青すぎるようでしたら、一晩か二晩おいておくと、色がついてきて、つけ頃になります。【漬け方】
 梅を一晩(12時間)以上水に浸しておき、ザルに上げて水気のついたまま桶(オケ)または瓶(カメ)に入れ、塩をふって上下かき混ぜ、おし石を載せておくと、一〜三日中に汁(梅酢)がたくさん出てきます。十四〜五日、おし石をしておき、だいじょうぶ天気が続きそうな時を見定めて、ムシロの上に一粒づつ並べて乾します。夜もそのままで夜露に当て、翌日に一度上下を返し、また一晩夜露に当てます。こうして二日二晩乾しますが、雨には濡らさぬよう注意します。もし、雨に当たったら、一度、もとの汁(梅酢)に一晩もどして、また乾かすと腐敗しません。
 乾し上げた梅は、汁(梅酢)とは別の瓶に入れて、きつちり蓋をしておきます(およそ十日以上、一ヶ月ほど)。
その間に、紫蘇の葉を少量の塩で揉み、搾り汁をすてます。紫蘇葉に汁(梅酢)1合ほどを加えてよく揉み出すと、赤い色が出ます。このときによく揉まないと、後では色がでません。これを容器に入れ、蓋をせずに日光に当てます。ただし晩は取り込みます。こうして三〜四日、日光に当てると色がだんだんによくなります。これを、乾し上げた梅の中に移し、軽く押さえ、汁(梅酢)をヒタヒタくらいに入れ、瓶のまま再び四五日日光に当てます。被せ蓋をして貯えます。
*梅酢を日に当てるのは、保存のためです。日光消毒をした梅酢は幾年も保存できますが、日光に当てない梅酢は、すぐにカビがきます。

・・・・・・ 梅漬け

『梅漬け』は、日光に梅を乾さずに漬ける方法で、おもに小梅を用います。
小梅は、小粒なのがたっとばれ、お正月用とか、客膳の中猪口(なかぢょく)や付け合わせなどによく用いられるもので、梅にシワのよらないように、皮を張らせて漬けます。
 漬け方は、ただ梅を日に乾さないことがちがうだけで、梅干しの漬け方と、ほとんど同じです。


・・・・・・梅が枝に風や吹くらん春の夜は折らぬ袖さえ匂ひぬるかな  長房


「梅」 学名「ブルヌス・ムメ(Prunusu mume)」。属名のブルヌスはバラ科サクラ属、梅は中国原産地で「メイ」と呼ばれ、種名のムメはもちろん梅のこと。幕末に来日した蘭医シーボルトが「ブルヌス・ムメ(Prunusu mume)」の学名を初めて使い、今もこの学名が使われる。英名は「ジャパニーズ・エィプリコット」です。  いさはや




「目次」に戻る -INDEX-