・・・・・・ 蕪(カブ)の千枚漬け

 千枚漬けは京都名物として名高く、食通に知られており、近頃では家庭でもかなり漬けられるようになりました。 漬け方は至って簡単ですが、ちょっとしたコツをご存じないためか、手抜きをしている方が多いようです。蕪の期間中は、家庭用でしたら、少しづつ漬け込んでもよろしいのであります。

・・*1斗=18.039P/1升=1.8039P/1合=0.18P/1勺=0.018P/1貫=3.75L/1匁=3.75K


【材料と容器】
・・・大蕪:3個(約200匁)
・・・塩 :10匁
・・・オシ石400匁
・・・上等のだし昆布5寸角数枚
・・・味醂(ミリン)盃2杯(普通の酒にきざらを溶かしてもよい)*「きざら」参照click
・・・桶(オケ)、瓶(カメ)または小樽(タル)

【下漬け】
 水洗いした蕪を、薄く皮をむき、1分(3.03mm)厚みに輪切りにして、1枚1枚並べ、片面に塩全量の約半分を振りかけ、掌(手の平)でなすりつけると、塩が溶けて蕪から汁が出ます。これをまた1枚1枚裏返して残りの塩を振りかけ、掌でなすりつけて、そのまま容器の中へ積み重ね、おし石を載せておきます。3時間も経ったら、水が上がりますから、蕪をその中で洗うようにして、固くしぼり、とりだします。容器の中の汁は捨てます。とりだした蕪は、きれいに1枚1枚洗います。

【本漬け】 まづ、容器の中に蕪を二〜三枚づつ重ねて並べ、その上に5寸角の昆布をかぶせ、味醂(ミリン)を盃1杯ほど、昆布の上にふりかけ(味醂をふるのは、味付けの意味より、昆布の粘りを防ぎ、且つその色を赤くしないためです)、その上にまた蕪を並べ、昆布をかぶせ、味醂をふりかけ、最後におし蓋をし、おし石を載せておくと、1時間内外で汁が上がってきます。この時おし石だけ取り除き、2時間ぐらい経ったら、おし石を元に戻し載せます、3時間ほどで食べられます。(*おし石をいったん取り除くのは、昆布にふくれる時間を与えるためです)
 この漬物は、食べるときに水洗いしませんから、清潔に漬け、桶の上に新聞紙でもハトロン紙でも被せ、塵のかからぬようにします。

注意:千枚漬けの「おし石」は、特に重い物を載せておかないと、歯切れが悪くなります。専門家は、包丁で切るかわりに、大きな鉋(かんな)で削るようにして、一応塩漬けしてから、2度目に本漬けしています。




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