マーク・ブキャナンの本を読んだ。彼の主張は、現在主流の経済学の「経済システムは本質的に安定的で自己調整されており、常に均衡状態に向かう」という考え方に異を唱え、自然界にみられる「非均衡系」の概念や分析手法を取り入れるべきだという。
特に、アルゴリズム取引が主流となり、光速に近いスピードで高頻度取引が行われている現在、人間の直感に基づく知識(市場均衡、合理的期待、効率的市場仮説などの考え)で未来を見通すことはできないという。市場は、天気とに近いと考えて方がベターなので、物理学を基礎として天気予報が具体化したように、物理学を用いて、市場や経済を考える。つまり、物理学を使い、市場変動を客観的に観測・予測して、社会を安定的に豊かに維持できることを目指すべきだという。
ビックデータやAI(物理学を基礎としたアルゴリズム)などにより、「明日の日経平均は、🔴🔴🔴円になるでしょう。特に上昇する銘柄は・・・」、「1週間後の円は、120円になるでしょう。」「A電気は、2日後に倒産するでしょう。B銀行は、明日・・・」というような経済予報が当たり前に接する時代が来るのだろうか?そして、天気予報と同様、より個別的かつ詳細な情報は特別なサービスとなるのであろうか?
遅かれ早かれ実現するような気がするが、そうなった場合、格差が更に広がるのであろう。一方、より高度な格差是正のシステムも実現しているはず(そうでないと、社会不安が広がり、最悪の場合、紛争や戦争が起きてしまう)。