原因と結果の経済学

データから真実を見抜く思考法の紹介である。特に、因果関係(原因と結果)と相関関係は異なり、それを間違えると真実から遠ざかる。例えば、偏差値の高い大学に行けば、収入は上がるかという問である。大学の偏差値と収入には相関関係はある。アメリカの研究によると、統計的な有意差はなかった。すなわち、因果関係はなく、その大学に行けば誰でも将来の収入が上がるとはいえない。大事なのは、本人にとって最高の大学はどこなのかということである。

 

最近、NHKスペシャルで、AIが「バナナの消費が高いと、病院に行く人が少なくなる」というようなことが紹介され、物議を醸したことを思い出した。両者には相関はあったのだろうが、全くの偶然か、それとも第三の変数が影響を及ぼしたと思われる。大事なのは、”解釈”ということである。

 

大昔、多変量解析(因子分析)をやったことがあり、たくさんの相関係数から、重要な因子を抽出して分析を行った時、上司が「コンピュータによる多変量解析は客観的です。」と言った。私は思わず「そんなことはない。重要な変数を導き出すのは、解釈。むしろ主観的とも言える。」と言って、会議室が騒然となったことも思い出した。

 

思いつき、思い込みではなく、エビデンスに基づく計画や意思決定が望ましいのであるが、今までは大変怪しい。しかし、今後はAIが学習することにより「解釈」もすることになるだろう。良い世の中が間近である。

 

2017年12月01日