私の知っている電通

最近、不適切な請求や残業などで電通が話題になっている。そこで、私の知っている電通について語ろう。

私は、宣伝部の時(1992年~1999年)と出向時代(2009年~2011年)に、電通と業務上関わりを持っていた。電通と言っても、営業/制作(クリエイティブ、)/SP(広告以外の販促、例えば展示会やイベント)/マーケ(マーケティング提案や研究開発)、メディア(広告媒体の買い取り)等区分できるが、私が接触が多かったのは、営業70%、制作20%、マーケ10%という割合である。

 

1.営業の印象
個々人で言えば、とても学歴のある立派な人達の集団である。東大・京大が主流。東大大学院(理系)出身が複数営業をやっていた。税金の無駄使いだと思った。広告代理店の営業の仕事は、それほど高いスキルは必要とされていないからである。クライアントのニーズを抑え、それを制作などのスタッフの伝え、全体を管理するのが主な仕事である。無論、クライアントのニーズを聞き出すための接待もあるが。

ただ、組織になると、新入社員の教育で富士山に昇る、鬼の10訓のように、目標達成のため、頑張るという文化がある。営業としては、別に間違っているとは思わないが、営業イニシャティブが時代の先端なのか疑問。とにかく、数字ありきで、合法である限り頑張る文化である。
2.制作の印象
エースチームは抱えているが、私は三浦チーム(メルセデス・ベンツの広告を当時やっていた)以外関わっていない。私は、ACC賞や電通賞など色々な広告賞を受賞したが、電通チームではなかった。恐らく、他の広告代理店が、電通に勝つために、彼らにとって、ベストの制作チームを用意したにもかかわらず、営業がそこまでの努力をしなかったのであろう。結論として、私にとって、優秀な制作チームを持っていると思われるが、出会えなかった。
3.マーケの印象
私のマーケティングは、実は博報堂から相当教わったのであるが、電通のマーケ力は、それを凌いでいると思う。広告代理店では、最高レベル。しかしながら、他の分野に目を向けると、例えば、一流のコンサル会社に比較するとソウソウである。

電通は、視点によって、良い会社か決まる。広告クリエイティブをやりたいなら、多分日本一だろう。クライアントと通じで、良い広告を制作したいと営業になろうと思うなら、電通に入社するのは、最高だと思う。ただ、広告のメインストリームは、以前はTVだったが、今は変わっているし、今後は、メディアの進化を含めたイノベーションを創生できる会社が主流となる。そこに一番近い会社は、どこなのか?日本では、電通が有力な候補だと思うが、変わるための苦しみが今の問題を発生したのだと思いたい。

 

2016年10月09日